春は新しい職場や新しい同僚、引っ越しなどにより生活リズムが多く変わる季節です。皆さんも、自分自身は変わらなくても周りの環境には何かしらの変化があったのではないでしょうか。そういった時には心身ともに疲れやストレスを感じやすく、自律神経の乱れも生じやすくなります。
5月の大型連休も終わり、新しい生活にも慣れてきたと言える頃ですが、普段の生活を送っていても肌の調子が悪くなったり、肌トラブルが起こりやすいと感じている方も多いと思います。
春には気温の急激な変化があり、体温調節機能が揺さぶられます。さらに、花粉や黄砂、PM2.5などの刺激物質も加わります。
このような肌の環境は続くと、5月頃から肌トラブルとして現れることが多いようです。自覚がなくても、肌は外部要因の影響を確実に受けています。
これらの影響によって引き起こされる肌トラブルの多くは、肌バリア機能の低下が原因です。もちろん、一年を通じてケアが必要ですが、特にこの季節には肌への影響とそれに対する対策に気を配る必要があります。
寒暖差と低湿度
5月は寒暖差があり、気温が急に上昇することもあります。その結果、暑さを感じる日が増えてきます。顔が汗をかいたり、皮脂分泌が活発になったりして不快感を感じるだけでなく、まだ慣れていない肌にも負担がかかり始めています。
皮脂分泌が急増することで、特に吹き出物のトラブルが多くなります。気温の上昇と梅雨入り前の乾燥が組み合わさり、肌のターンオーバーが乱れ、皮脂の分泌量が増え、ニキビの原因となる菌が繁殖しやすくなります。また、ターンオーバーの乱れにより角化不全も引き起こされ、角層が厚くなり(古い角層が剥がれずに残る)、肌の健康を損なうことがあります。
肌の汚れや古い角質をしっかりと取り除くために、日々のクレンジングや洗顔を怠らずに行いましょう。ただし、バリア機能が低下した肌は刺激に敏感ですので、やさしく擦らないように注意しましょう。
冬とは異なり、空気が乾燥していないので保湿は大丈夫だ!と手を抜いてしまう方が多いです。しかし、水分の蒸発は一年中絶えず起こっており、特にこの季節は乾燥しやすいです。丁寧な保湿ケアによって肌の調子を良く保ちましょう。
高温で汗や皮脂が出た場合、ハンカチで拭くのではなく、ティッシュで軽く押さえるようにしましょう。
また、乾燥が多い日々なので肌の水分と油分のバランスを整えることが重要です。しっかりと保湿を怠らないようにしましょう。スキンケア製品は刺激の少ないものを選び、皮脂対策用のスキンケアに切り替えることもおすすめです。
さらに、肌の水分不足は皮脂の分泌を過剰にしてしまう可能性があるため、入念な保湿も重要です。特に水分補給に重点を置いた保湿を心がけましょう。
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紫外線の急増とUVケアの油断
この季節で一番注意が必要なのは紫外線です。4月や5月でも太陽の光を甘く見てはいけません。まだ真夏ではないと油断して、つい日焼けをしてしまいがちです。
以下に、私たちが日常生活で浴びている紫外線の年間推移グラフを示しました。
2022年のつくばの「日最大UVインデックス(観測値)」の年間推移グラフ
●は観測値、細実線は1990年から2022年までの累年平均値を表す。
🔗気象庁 日最大UVインデックス(観測値)の年間推移グラフより
このグラフをご覧いただくとわかる通り、真夏に比べると紫外線の数値は高くありませんが、5月から6月にかけては9月などと比べて高いことが分かります。
そのため、急な日焼けによる肌トラブルが増える可能性があります。肌の炎症やメラニンの過剰生成によるシミやそばかすなどが起こりやすくなります。また、UVAによって真皮のコラーゲンなどの弾性線維がダメージを受けると、ハリや弾力が低下するリスクもあります。
皆さん、まだ夏ではないからと油断せず、しっかりとした日焼け止めを使用して紫外線対策を行ってください。女性の方はメイク下地やファンデーションを夏用に変更することもおすすめです。SPFやPA値の高い製品を選び、こまめに塗布して丁寧なUVケアを怠らないようにしましょう。
また、ナイトケアでは、メラニンの過剰生成を抑える効果のある美容液やマスクを使用して集中的なスキンケアを行うことも効果的です。
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心と体の環境変化
心的なストレスは疲労や倦怠感として現れ、身体的なストレスは血管収縮の異常や免疫機能の低下などを引き起こします。
ストレスは肌の角化にも影響を及ぼし、バリア機能の低下や乾燥によって肌荒れが起こりやすくなります。
ストレスが原因であるからといって、ストレスを解消しなければ治らないというわけではありません。ただし、丁寧なスキンケアを行うことは重要です。5月の肌トラブルに対応するためには、夏に向けた対策レベルのスキンケアを行うことが良いでしょう。
また、この時期は新しいスキンケア製品に挑戦するよりも、これまで自分の肌が慣れている製品を使用し、ストレスを与えないようにすることが重要です。日常生活でも、ストレスを感じにくい生活やストレス発散を心がけましょう。
大気汚染物質の影響
この季節は、花粉だけでなく黄砂やPM2.5なども舞いやすいです。バリア機能が低下しているため、これらの物質が私たちの皮膚に侵入し、さまざまな炎症の原因となります。
顔についた汚れはしっかりと落とすことが重要です。洗顔料をよく泡立て、肌をこすらずに泡で包み込むように洗うことがポイントです。
これらの注意点を踏まえて、心と肌の不安定なこの季節を乗り切りましょう!