講義

あなたは「乾燥小じわを目立たなくする」と「シワを改善する」の違いを説明できますか? 整理しましょう化粧品と医薬部外品の効果効能!

「乾燥小じわ」と「シワを改善する」の違いをあなたは言えますか?

今回の講義は少し難しい内容になっていますが、化粧品や医薬部外品に表示される効果効能の表記から製品の性能を理解するためには非常に重要な知識です。皆さんも頑張って勉強してくださいね。

化粧品や医薬部外品に関連する法律には、内容量表示や広告に関わる景品表示法、化学物質の製造や使用に関わる化審法など、さまざまな法律が存在します。その中でも最も重要なのが薬機法(やっきほう)です。詳しくは後ほど解説します。

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本講義では、化粧品関連事業に携わる方や広告業務を担当する方を対象に、薬機法に基づいて規定されている効果効能について解説します。

化粧品医薬部外品において、法律でどのような効能効果の表現が認められているのかを学ぶことができます。

本講義の内容を理解することで、手に取った化粧品がどのような効果効能を主張しており、それが正確に表現されているかを判断する能力を身につけることができます。

また、法的規制を遵守し正当に販売されている化粧品かどうかを判断するための知識や、自身の肌に最適な効果をもたらしてくれる製品を選ぶための知識を習得できます。

それでは、講義を始めましょう。



薬機法入門講座 講義1 効能効果

化粧品、医薬部外品の定義と「薬機法」

まずは、化粧品と医薬部外品それぞれが表現できる効能効果について順番にご紹介します。これを説明するには、まず法律で規定されている化粧品と医薬部外品の定義について学ぶことが重要です。

以下に、化粧品と医薬部外品の違いを簡単な表にまとめました。医薬品との比較も含まれています。

製品区分化粧品医薬部外品(薬用化粧品)医薬品
使用目的美しく見せ、皮膚及び毛髪を健やかに保つこと肌あれなどの各症状の防止や衛生(+化粧品としての使用目的)各症状に対する予防や治療
作用人体に対する作用が緩和人体に対する作用が強く、(重大な)副作用を生じることもある
有効成分なしあり
標ぼうできる効能効果化粧品56項目化粧品56項目+有効成分により承認された予防的効能効果承認された効能
製造販売のための制度届出承認申請

あくまで一例ですが、製品への表記はそれぞれこのようになります。

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細かい責任表示は他にもありますが、ここでは主に成分表示と効果効能の表記について着目していただいたらよいかと思います。

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これらの医薬品、医薬部外品、化粧品、さらに医療機器や再生医療製品など、各カテゴリーの製品の品質、有効性、および安全性を確保するためには、法律が存在します。その法律は、

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

..とまさにその通りで、さらに非常に長い名称の法律ですが、私たち化粧品業界では「医薬品医療機器等法」または単に「薬機法」と略して呼んでいます。古い薬事法が改正され、2014年からこの薬機法が施行されました。

では、この薬機法における化粧品と医薬部外品の定義、そしてそれぞれが表現できる効果効能について、法律と照らしながら順番に説明していきたいと思います。



化粧品の定義

まずは薬機法で定められている化粧品の定義についてです(薬機法 第一章 総則 第二条2)。

化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。
ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

おそらく、口紅やファンデーションなどのメークアップ化粧品や化粧水、美容液などのスキンケア化粧品が、皆さんの中で一般的な「化粧品」として思い浮かぶでしょう。しかし、それ以外にも、シャンプーやリンスなどのヘアケア製品、石けん、香水、歯磨きなどのトイレタリー製品も、薬機法上の定義に基づくと化粧品に該当します。

これらを含めて、化粧品はあくまでも美容と健康維持の目的で使用されるものであり、医薬品のように体に対して治癒効果などを謳うことはできません。

化粧品で標ぼうできる効能効果とは?

化粧品の効能の範囲に関しては、昭和36年2月8日付けの薬発第 44 号薬務局長通知「薬事法の施行について」の別表第1🔗によって定められました。
その後、平成12年12月28日付の医薬発第1339号医薬安全局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」🔗により、改訂され55種類の効果効能表現を定めた基準となりました。

そして、長い年月が経った平成23年に、化粧品の効能効果表現に画期的な変化が起きました。それは、平成23年7月21日付の薬食発0721第1号厚生労働省医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」🔗によって追加された56番目の効能効果です。

乾燥による小ジワを目立たなくする。

これにより、現在の化粧品には標ぼうできる効果効能が合計56種類となりました。

この「乾燥による小ジワを目立たなくする」という追加表現により、一定の期間内で「」乾燥小ジワ標ぼうに対する需要が急増しました。

以下に、現在の化粧品で謳うことができる56種類の効果効能をまとめました。

化粧品で標ぼう可能な効能効果の範囲

頭皮・毛髪について

 (1)頭皮、毛髪を清浄にする。
 (2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
 (3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
 (4)毛髪にはり、こしを与える。
 (5)頭皮、毛髪にうるおいを与える。
 (6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
 (7)毛髪をしなやかにする。
 (8)クシどおりをよくする。
 (9)毛髪のつやを保つ。
 (10)毛髪につやを与える。
 (11)フケ、カユミがとれる。
 (12)フケ、カユミを抑える。
 (13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
 (14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
 (15)髪型を整え、保持する。
 (16)毛髪の帯電を防止する。

皮膚について

 (17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
 (18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
 (19)肌を整える。
 (20)肌のキメを整える。
 (21)皮膚をすこやかに保つ。
 (22)肌荒れを防ぐ。
 (23)肌をひきしめる。
 (24)皮膚にうるおいを与える。
 (25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
 (26)皮膚の柔軟性を保つ。
 (27)皮膚を保護する。
 (28)皮膚の乾燥を防ぐ。
 (29)肌を柔らげる。
 (30)肌にはりを与える。
 (31)肌にツヤを与える。
 (32)肌を滑らかにする。
 (33)ひげを剃りやすくする。
 (34)ひげそり後の肌を整える。
 (35)あせもを防ぐ(打粉)。
 (36)日やけを防ぐ。
 (37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。

香りについて

 (38)芳香を与える。

爪について

 (39)爪を保護する。
 (40)爪をすこやかに保つ。
 (41)爪にうるおいを与える。

口唇について

 (42)口唇の荒れを防ぐ。
 (43)口唇のキメを整える。
 (44)口唇にうるおいを与える。
 (45)口唇をすこやかにする。
 (46)口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
 (47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
 (48)口唇を滑らかにする。

オーラルケアについて

 (49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
 (50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
 (51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
 (52)口中を浄化する(歯みがき類)。
 (53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
 (54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
 (55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。

皮膚について

 (56)乾燥による小ジワを目立たなくする。

ここに示されている効果効能の表現は、完全にそのまま使用する必要はありません。この範囲内で効果効能の表現を言い換えることも可能です。ただし、薬理作用に関連する効果効能の表現や、ここに記載されていない効果効能の表現は許可されていません。

たとえば、「シミが消える」という表現は使用できませんが、認められている範囲内では「日焼けによるシミの予防」といった表現が化粧品のカテゴリーで許可されています。

同様に、「肌を柔らげる」という表現も許可されていますので、代替表現として「肌に弾力を与える」といった表現も使用できます。

このように、設定された効果効能の範囲内で消費者に対して多くのベネフィットを伝える方法が、メーカーの腕の見せ所となります。効果効能表現のボーダーラインを見極めるためには、長年の試行錯誤の経験と市場の反応を分析するビッグデータが重要な要素となります。

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最後に追加された効能「乾燥による小じわを目立たなくする」

追加された56番目の効果効能である「乾燥による小じわを目立たなくする」表現について、先ほど述べたように追加直後に「乾燥小ジワブーム」が起こりました。

この時、一部の製品では曖昧な表現や誤解を招くような効能表記がされ、年齢によるシワまでも改善すると誤解される製品も市場に登場しました。

その後、取り締まりが行われることでルールが広く理解され、市場も徐々に正常化していく過程がありました。

現在でも、これらのルールを遵守しつつ、多くの製品が販売されています。これらの製品は消費者に対して適切な効果効能を標榜し、市場で広く支持されています。

ここで誤解のなきよう解説したいと思います。

「乾燥による小じわを目立たなくする」という表現について、注意が必要な点を説明します。

この表現は、乾燥によって引き起こされる小じわに対しての効果を示しています。具体的には、スキンケア製品による保湿効果によって、肌が潤いを保ち、小じわが目立たなくなるという作用機序が想定されています。この効果を表現する際には、必ず「乾燥による小じわを」という表現を付けることが義務付けられています。

重要な点として、この表現は表皮の深い層や真皮にまで作用することを意図していません。

つまり、

乾燥による小じわを改善する効果は…

加齢によるそれ以上のシワグレードの深いシワまで

改善する作用を対象としていません。

ここが一番注意すべきところで、誤解を与えやすいところかと思います。

また、その効果を謳うためには、簡単に標ぼうできるわけではありません。

製造販売業者は、「化粧品機能評価法ガイドライン」の中の「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」に基づく試験または同等以上の試験を行い、その効果に見合った結果を確認するためのエビデンスデータの取得が求められます。この試験は第三者機関で行われるため、試験費用も比較的高額です。

「乾燥による小じわを目立たなくする」標ぼうのための抗シワ機能評価ガイドラインでは、被験者の目尻のシワのグレード1~3を持つ人々を対象にしています。評価は目視評価、写真評価、または機器評価のいずれかで行われ、塗布した群と無塗布群のシワ改善の変化に有意な差があることが確認される必要があります。

引用:新規効能取得のための抗シワ製品評価試験ガイドライン🔗

また、消費者などからの問い合わせに対しては、試験結果や評価資料などを提示して、この効能に関する根拠を説明する必要があります。

そのほか効果効能については平成23年7月21日付け 薬食審査発0721第1号/薬食監麻発0721第1号 厚生労働省医薬食品局審査管理課長/厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知 「化粧品の効能の範囲の改正に係る取扱いについて」🔗によって定められています。この通知では、謳ってもよい表現などが分かりやすく説明されています。


さらに、化粧品工業連合会の化粧品等の適正広告ガイドライン🔗も詳細な参考資料となります。



化粧品の広告について(ちょっとだけ)

医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器および再生医療等製品の広告を巡る環境の変化に伴い、医薬品等適正広告基準が改正されました。

具体的には、厚生労働省医薬・生活衛生局長通知「医薬品等適正広告基準の改正について」(平成29年9月29日薬生発0929第4号🔗、および厚生労働省医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課長通知「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について」(平成29年9月29日薬生発0929第5号🔗がつづけて発出されました。

化粧品の広告においては、以下の点に注意しながら効能効果を表現する必要があります。

特定の成分(例: 「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」)を取り上げる場合、その成分が有効成分であるかの誤解を与えないように、必ず化粧品の効能効果に基づいた表現と併記する必要があります。また、薬理効果を明示または暗示する成分が配合されていることを広告に表示することも許可されていません。

参考:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について厚生労働省🔗

さらに、抗酸化成分、肌あれ改善成分、美肌成分、美容成分、エイジングケア成分などの表現は、当該成分が有効成分であるかの誤解を与え、効能効果を逸脱する可能性があるため、配合目的としては認められていません。

参考:化粧品等の適正広告ガイドライン🔗

これまで詳しく説明した化粧品の効能効果に加えて、「化粧品くずれを防ぐ」「小じわを目立たなく見せる」「みずみずしい肌に見せる」などのメークアップ効果、また「清涼感を与える」「爽快にする」などは、事実に反しない限り表現することができます。

ここまでが化粧品に関する説明でした。次に、医薬部外品について同様に説明します。

医薬部外品の定義

薬機法に定められている医薬部外品の定義は以下のとおりです(薬機法 第一章 総則 第二条2)

この法律で医薬部外品とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。

一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止 (腋臭防止剤)
ロ あせも、ただれ等の防止
ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛 (育毛剤)
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三 前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

さてさて、医薬部外品については化粧品と比べて表現がやや複雑で、理解が難しい部分もありますね。

ここでは、化粧品とは異なり、厚生労働省で定められた特定の効能効果に限って表示できるという理解で構いましょう。

医薬部外品は主に予防効果や衛生を目的としており、口中清涼剤や薬用歯磨き類、殺虫剤やソフトコンタクトレンズ用消毒剤など、人体に直接使用する製品が含まれます。また、薬用シャンプーや薬用化粧水など、いわゆる薬用化粧品も医薬部外品に該当します。

薬用化粧品には必ず「ふけ、かゆみを防ぐ」「肌荒れ、にきびを防ぐ」などの効果を持つ特定の有効成分が配合されています。

医薬部外品申請を行い、数か月の審査期間を経て厚生労働大臣の承認を得る必要があります。承認が得られれば、緩和な作用の効果効能を謳う医薬部外品を販売することができます。

医薬部外品には「医薬部外品」「指定医薬部外品(外皮消毒剤など)」、そして「防除用医薬部外品(忌避剤、殺虫剤、殺そ剤など)」のカテゴリがあります。

スキンケア製品は主に医薬部外品に該当するため、ここでは医薬部外品に焦点を当てて学んでいきましょう。

医薬部外品の種類分けと標榜できる効能効果とは?

医薬部外品の効能・効果の範囲

医薬部外品
の種類
使用目的の範囲と原則的な剤型効能又は効果の範囲
使用目的主な剤型効能又は効果
1.口中清涼剤吐き気その他の不快感の防止を目的とする内用剤である。丸剤。板状の剤型、トローチ剤、液剤。口臭、気分不快。
2.腋臭防止剤体臭の防止を目的とする外用剤である。液剤、軟膏剤、エアゾール剤、散剤、チック様のもの。わきが(腋臭)、皮膚汗臭、制汗。
3.てんか粉類あせも、ただれ等の防止を目的とする外用剤である。外用散布剤。あせも、おしめ(おむつ)かぶれ、ただれ、股ずれ、かみそりまけ。
4.育毛剤(養毛剤)脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤である。液剤、エアゾール剤。育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛。
5.除毛剤除毛を目的とする外用剤である。軟膏剤、エアゾール剤。除毛。
6.染毛剤(脱色剤、脱染剤毛髪の染色、脱色又は脱染を目的とする外用剤である。毛髪を単に物理的に染毛するものは医薬部外品には該当しない。粉末状、打型状、エアゾール、液状又はクリーム状等。染毛、脱色、脱染。
7.パーマネント・ウェーブ用剤毛髪のウェーブ等を目的とする外用剤である。液状、ねり状、クリーム状、エアゾール、粉末状、打型状の剤型。毛髪にウェーブをもたせ、保つ。くせ毛、ちぢれ毛又はウェーブ毛髪をのばし、保つ。
8.衛生綿類衛生上の用に供されることが目的とされている綿類(紙綿類を含む)である。綿類、ガーゼ。生理処理用品については生理処理用、清浄用綿類については乳児の皮膚・口腔の清浄・清拭又は授乳時の乳首・乳房の清浄・清拭、目、局部、肛門の清浄・清拭。
9.浴用剤原則としてその使用法が浴槽中に投入して用いられる外用剤である。(浴用石鹸は浴用剤には該当しない。)散剤、顆粒剤、錠剤、軟カプセル剤、液剤。粉末状、粒状、打型状、カプセル、液状等。あせも、荒れ性、打ち身(うちみ)、くじき、肩の凝り(肩のこり)、神経痛、湿しん(しっしん)、しもやけ、痔、冷え性、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え性、にきび。
10.薬用化粧品(薬用石けんを含む)化粧品としての使用目的を併せて有する化粧品類似の剤型の外用剤である。液状、クリーム状、ゼリー状の剤型、固型、エアゾール剤。別掲(次表参照)
11.薬用歯みがき類化粧品としての使用目的を有する通常の歯みがきと類似の剤型の外用剤である。ペースト状、液状、液体、粉末状、固形、潤製。歯を白くする、口中を浄化する、口中を爽快にする、歯周炎(歯槽膿漏)の予防、歯肉炎の予防。歯石の沈着を防ぐ。むし歯を防ぐ。むし歯の発生及び進行の予防、口臭の防止、タバコのやに除去、歯がしみるのを防ぐ。
12.忌避剤はえ、蚊、のみ等の忌避を目的とする外用剤である。液状、チック様、クリーム状の剤型。エアゾール剤。蚊成虫、ブユ(ブヨ)、サシバエ、ノミ、イエダニ、トコジラミ(ナンキンムシ)等の忌避。
13.殺虫剤はえ、蚊、のみ等の駆除又は防止の目的を有するものである。マット、線香、粉剤、液剤、エアゾール剤、ペースト状の剤型。殺虫。はえ、蚊、のみ等の衛生害虫の駆除又は防止。
14.殺そ剤ねずみの駆除又は防止の目的を有するものである。 殺そ。ねずみの駆除、殺滅又は防止。
15.ソフトコンタクトレンズ用消毒剤ソフトコンタクトレンズの消毒を目的とするものである。 ソフトコンタクトレンズの消毒。

その中でも美容分野で私たちに馴染みのあるカテゴリーが薬用化粧品です。薬用化粧品は、さらに以下のような効能効果が各種類別に定められています。

薬用化粧品の効能・効果の範囲

種類効能・効果
1.シャンプーふけ、かゆみを防ぐ。
毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。
毛髪・頭皮を清浄にする。
毛髪・頭皮をすこやかに保つ。①
毛髪をしなやかにする。② (①と②は二者択一)
2.リンスふけ、かゆみを防ぐ。
毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。
毛髪の水分・脂肪を補い保つ。
裂毛・切毛・枝毛を防ぐ。
毛髪・頭皮をすこやかに保つ。①
毛髪をしなやかにする。② (①と②は二者択一)
3.化粧水肌あれ。あれ性。
あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。
油性肌。
かみそりまけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。
皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。
4.クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油肌あれ。あれ性。
あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。
油性肌。
かみそりまけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。
皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。
皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。
5.ひげそり用剤かみそりまけを防ぐ。
皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。
6.日やけ止め剤日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。
日やけ・雪やけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
皮膚を保護する。
7.パック肌あれ。あれ性。
にきびを防ぐ。
油性肌。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をなめらかにする。
皮膚を清浄にする。
8.薬用石けん(洗顔料を含む)<殺菌剤主剤>(消炎剤主剤をあわせて配合するものを
含む)
皮膚の清浄・殺菌・消毒。
体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。
<消炎剤主剤のもの>
皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。

(注1)作用機序によっては、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められる。
(注2)上記にかかわらず、化粧品の効能の範囲のみを標ぼうするものは、医薬部外品としては認められない。



医薬部外品の広告について

医薬部外品の効能効果に関して、例えば「しみ、そばかすを防ぐ」という効能効果で承認を受けた場合、単に「しみ、そばかすに」といった表現は認められません。なぜなら、「しみ、そばかすに」という表現だけでは治療を意味するニュアンスも含まれ、医薬品と解釈される可能性があるためです。ただし、別途明確に承認された効能効果が明示されている場合は、この制約はありません。

また、薬用化粧品や薬用歯磨きにおいては、化粧品の効能効果の表現について、それぞれのカテゴリーに対応する該当部分を使用することができます。

ただし、注意が必要な点として、医薬部外品本来の目的が隠ぺいされ、化粧品であるかのような誤解を与えないようにする必要があります。

また、併記する化粧品としての効能効果がある場合、それが医薬部外品としての効能効果として承認を受けたものであるかのような誤解を与えないように注意が必要です。

医薬部外品と化粧品の違いについておさらい

次に、具体的な例を挙げながら医薬部外品と化粧品の効能効果の違いについて説明します。

【具体例】医薬部外品、化粧品、雑貨の違いについて

種類医薬部外品化粧品雑貨
スキンケア製品メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。肌あれ。あれ性。あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。肌のキメを整える。肌をひきしめる。皮膚にうるおいを与える。肌にツヤを与える。肌にはりを与える。
せっけん〈殺菌剤主剤の場合〉
皮膚の清浄・殺菌・消毒。等
〈消炎剤主剤の場合〉
皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。
皮膚を清浄にする。等
浴用剤あせも、肩こり、神経痛、疲労回復、腰痛、あかぎれ等肌を整える。皮膚にうるおいを与える。色・香りを楽しむ。

雑貨については、皮膚に対する効果を謳うことはできません。 広告規制についても非常に重要ですが、詳細な説明をすると大変ボリュームが増えてしまい、今回の主題とも少し逸れるため、ここでは割愛したいと思います。

最近、世間をにぎわせている新規の効能について

ここまで詳しく解説してきた医薬部外品の効能効果について、何かが足りないと感じた方はいらっしゃいますでしょうか?もしご意見があれば、さすがですね。

実はその後、さらに個別に追加された効能効果があります。これらは最近の市場では非常に人気がありますよね。 それでは、順番にこれらの効能効果を紹介していきましょう。

「皮膚水分保持能の改善」

勇心酒造株式会社は、10年にわたる研究開発の成果として「ライスパワーⓇNo.11(米エキスNo.11)」というコメ発酵エキスを開発しました。このエキスは2001年9月に医薬部外品の新規有効成分として異例の承認を受けました。承認を受けた効果効能は「皮膚水分保持能の改善」であり、医薬部外品制度が導入されて以来、初めての新規効能追加となりました。現在でも一部の企業しか標ぼうできない効能になっています。🔗

「皮脂分泌を抑制」

こちらも勇心酒造株式会社が開発した唯一の効果効能であり、過剰な皮脂分泌を抑制する有効成分「ライスパワーⓇNo.6(米エキスNo.6)」によるものです。この成分は毛穴の奥の皮脂腺に働きかけ、皮脂分泌を抑制する作用を持っています。これにより、テカリやベタつき、目立つ毛穴などを引き起こす過剰な皮脂をコントロールし、保湿効果や油水分バランスの調整も行います。

なお、先述のNo.11と同様にコーセーもこの成分を採用しており、『ONE BY KOSÉ(ワン バイ コーセー)』という製品として医薬部外品として販売されていますね。

「メラニンの蓄積をおさえ、しみ、そばかすを防ぐ。」

これまで一般的な美白効果の効能は、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」というものでした。

しかし、異なる作用機序でメラニンへのアプローチを行う新たな効果効能「メラニンの蓄積を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」というものがAMP(アデノシン一リン酸二ナトリウムOT)を有効成分として大塚製薬によって承認取得されました。

その後、ポーラグループも同じ効果効能を持つ「m-ピクセノール(デクスパンテノールW)」を有効成分として承認を取得しました。

詳しい解説は以下の講義で行われていますので、リンクを貼っておきます。次回お時間のある際にご覧いただければ幸いです。

🔗【美白Ⅰ 講義1 作用機序論】メラニンの生成と蓄積の抑制

「シワを改善する。」

POLAさんの「ニールワン®」日本初の「シワを改善する」の効果効能を取得しました。

🔗史上初!「シワを改善する」効能医薬部外品 ポーラ化成工業が製造販売承認を取得

日本香粧品学会で定められた、新効能取得のための抗シワ製品評価ガイドラインに基づいて、効果が確認されました。

POLAがこの技術を生かした製品を発売した直後に、資生堂純粋レチノールを有効成分としたシワ改善を標ぼうする医薬部外品を発売。その後もPOLAの「初」をかき消さんとする勢いで各ブランドに展開していきました。いまでは複数種の有効成分を組み合わせた医薬部外品にまで展開されています。

その後、コーセーさんをはじめとしたニコチン酸アミドW、ナイアシンアミド、ビタミンPPなどのナイアシンアミド群の承認が一般的に取得できるような時代となりました。これら名称の違いは承認を受けた際の別紙規格名称の違いであって、成分の本質は同じナイアシンアミドです。

それは「ナイアシンアミド抗シワ祭り」現象と言っても過言ではないほどに、抗シワ医薬部外品がさまざまな会社から発売される現象が発生。こうして市場では「シワを改善する」を標ぼうする医薬部外品が一般化しました。

そんな中、最新の抗シワ市場の情報を少しだけお伝えします。

2023年4月時点の最新情報では、日本メナード化粧品dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)を有効成分とした抗シワ医薬部外品の承認を取得したと発表されました。この製品については、詳細な情報はリンク先でご確認いただけます。

🔗化粧品業界トピックス「シワ改善」医薬部外品市場に新たな有効成分の誕生!

今後、日本メナード化粧品がどのような医薬部外品にVEP-Mを配合して展開していくのか、その動向に注目が集まります。

これにより、「シワを改善する」という効能を標榜できる有効成分は、ニールワン、レチノール、ナイアシンアミド群に続く4番目となります。抗シワ市場の今後の動きも楽しみですね。



化粧品と医薬部外品における「浸透」表現について

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化粧品などの適正広告ガイドラインでは、「浸透」という表現は原則として避けるべきです。この表現は、化粧品の効能効果を超えるか、確実な効果を示唆する可能性があるためです。

例外的に認められる場合は、化粧品作用部位が角層(角質層)までであることが明示され、効能効果の保証や範囲の逸脱が行われていない場合です。アニメーションや成分を表す矢印などで浸透を示す場合も同様に注意が必要です。

医薬部外品の有効成分に関しては、浸透などの表現を使用する場合でも、事実に基づいて承認を受けた効能効果の範囲を超えてはなりません。

一方、医薬部外品では、特定の有効成分によって真皮での作用機序に基づいて承認を受ける場合があります。この場合に限り、該当する真皮部分への作用に言及することができます。ただし、これは有効成分に限った話であり、他の添加成分については化粧品と同様の考え方が適用されます。

講義のあとで

さて、今回の内容は非常に難しいかもしれませんね。化粧品や医薬部外品で標ぼうできる効能効果について詳しく解説しました。すべてを完全に覚える必要はありませんが、皆さんが化粧品を手に取った際に少しでも疑問を感じた場合は、ぜひこの講義の内容を振り返ってみてください。

製品のコンセプトや広告を作成する際には、法律で定められた表現方法が存在します。今回はそれに触れませんでしたが、「シミが消える」「シワがとれる」といった表現はNGです。「医師の推薦」「痩せる」といった表現や「最強・強力・絶対・1番」といった言葉もNGです。理解しやすいものから分かりにくいものまで、法律に基づいてチェックする必要があります。

さて、この講義の冒頭で皆さんに問いました。

「乾燥小じわ」と「シワを改善する」の違いをあなたは言えますか?

どうですか?もう説明できるようになった!という人が少しでも増えていたら嬉しいです。

みんなの化粧品リテラシー向上こそ本学の理念です!

それでは皆さんお疲れさまでした!